さと歩きワークショップ+地理・地質と石のお話2

「先行関連事業」の初回となる「さと歩きワークショップ《石の里・大谷を探訪する》」

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に関連した「地理・地質と石のお話」の続きです。

「石の里」のイメージ
まず、宇都宮市内外の人々にとって、「石の街」の西側に広がる「石の里」は、いったいどのようなイメージでしょうか。まったくご存じではない方もおられると思いますが、文献やインターネット情報などを通じて、さまざまな想像がつく皆さんは、きっと「多孔質の奇岩がそびえ、切り立った崖下をえぐるようにして川が流れる山間」とお答えになると思います。

御止山南側の自然石|2016年|宇都宮市大谷町 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
御止山南側の自然石|2016年|宇都宮市大谷町
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

そして、実際に当地を訪れたことがある方や、石の愛好家であれば、必ず「かつては採石が盛んで、今日ならば廃坑となった地下採掘場が必見!」と仰るに違いありません。

記録写真《露天平場掘りの採石場》|昭和戦前 大谷石材協働組合蔵 (C)Ooya Stone Cooperative
記録写真 《露天平場掘りの採石場》|昭和戦前
大谷石材協働組合蔵
(C)Ooya Stone Cooperative

「石の里」の地上と足元は
しかし、「奇岩」は、必ずしも「自然石がそのまま露出」している訳ではなく、なだらかな丘陵を掘り下げることで生み出された「人工の崖」に、採石を止めたのち、樹木が生い茂った場合も多いのです。言い換えると、わが国でも稀に見る「自然×人工」「莫大な埋蔵量の石×産業の力」による壮大な景観こそが大谷の魅力、として良いでしょう。
さらに、そんな「石の里」の足元には
A. 層厚1~20m=第四紀(258万8000年前から現在まで)の地層
B. それ以下(地形によっては地表にも露出)=新第三紀(2,303万年前から258万年前まで)の地層
が重なり合っており、うち「B」が「大谷層」と呼ばれています。

 

「大谷層」の厚みと石材
この「大谷層」こそが「石」のゆりかごですが、上から順に、
S1層=層厚80m+
I層=層厚5~50m

美術館東側を流れる田川の川底、大谷層I層の石|2016年|宇都宮市瓦谷町 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
美術館東側を流れる田川の川底、大谷層I層の石|2016年|宇都宮市瓦谷町
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

II層=層厚17~70m
III層=層厚9~29m ※最上質な石材

大谷資料館付近の崖、大谷層III層の石|2016年|宇都宮市瓦谷町 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
大谷資料館付近の崖、大谷層III層の石|2016年|宇都宮市大谷町
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

IV層=層厚9~70m ※一般的な石材
V層=層厚上部40+下部30m ※下部は石材としては不良
S2層=層厚70m ※二枚貝や巻貝などの化石を見つけることが可能
VI層=層厚57m

城西ニュータウン付近の崖、大谷層VI層の石|2016年|宇都宮市田野町 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
城西ニュータウン付近の崖、大谷層VI層の石|2016年|宇都宮市田野町
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

S3層=層厚11m
VII層=層厚21m ※一般的には田下石として採掘
S4層=層厚30m
VIII層=層厚6m+
とめまいを覚えるほど豊かな厚みを有し、III層・IV層から採れる石が「石屋さんの言う大谷石」に他なりません。